80DAYS | Stairway To Stardom

80DAYS

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さてこの作品、何の前情報もなしに借りてきました。

ジュール・ベルヌの原作小説はタイトルを知っているだけですが、

なんとなくこちらの映画のほうがエンターテインメントとして

とっつきやすいんじゃないかな、と感じました。


ジャッキー演じるラウ・シンの故郷ということで

中国が随分ピックアップされていますが、

まさか原作ではそんなことはありますまい。

もっと様々な国で面白いエピソードが作れるだろうに、と少し勿体無く思いました。


ジャッキーがハリウッドに進出してから思うことは、

さすがに東洋人であることをわきまえている、ということです。

資本や、流通ルートや、映画業界を支える人々、果ては観客まで

やはり白人がメインの世界なのです。

僕も将来きっとそうするであろう役柄を、彼は演じていると思っています。

俳優としても、クリエイターとしても。


東洋人が主役をやって、白人や黒人をやっつけてしまっては、

彼らは面白くない

(僕らだって、東洋人が馬鹿にされている描写を見ると気分が良くない)

だから東洋人VS西洋人という構図は観客動員に結びつかない。

僕ももし、僕が書いた脚本で自分自身が主役をやるとしたら

白人も黒人も味方として取り込んでおきたい。

また、世界的な興行を考えてより数字を追求するのなら、

主役は綺麗どころの白人にやってもらい、

最重要の役割、キーマンを僕自身が演じるだろう。


ただ、今後のボーダーレスな世界を念頭において、

民族の融合や地球規模の平和を意図し、促進させたいのであれば、

国や民族、人種にとらわれない役柄を用意した、

純粋に脚本で勝負する映画を作りたいと思う。

(または、それぞれの国民性の長所をピックアップして、

 ふんだんに盛り込みたい)


歴史的な国家や民族の対立の構図と、

そこから生じる先入観を利用した作品から脱却するのだ。


しかしまぁ、今作品のような従来の西洋文学に、

東洋人がメインキャストとして重要な役割を担うような作品は少ないであろうし、

アレンジしてもなかなか難しいだろう。


これらのことを考えると、

ジャッキーが主役でありながら、

ジュール・ベルヌの小説をモチーフとしてカンフーアクションを盛り込み、

各国に様々なゲストを配置し、

恋愛要素もありと、実に欲張りな作品を形にしたということは、

なかなかに評価できると思いました。


それから、豪華競演陣も魅力のひとつかな。

トルコでシュワルツェネッガーが出てきたときは、

彼の演技や佇まいを見て、俳優としてはもうどうにも救い難いと思ったけれど、

中国ではサモハン・キンポーが登場、

中国の女将軍は「クローサー」で警官やってたカレン・モク。

(彼女はやっぱり開脚が売りなのね~ またやってました)

ライト兄弟の兄、ウィルバーは「シャンハイ・ヌーン」で

ジャッキーと競演していたオーウェン・ウィルソンが、

相変わらずの間抜けっぷりで演じていましたし。

アメリカでは、コメディ映画「ホット・チック」でその演技力に舌を巻いた

ロブ・シュナイダーが、浮浪者役で笑わせてくれる。

他にも「パイレーツ・オブ・カリビアン」の義眼の海賊役等、

たくさんのゲストがいたようですが、

様々な場面で登場し、それぞれが楽しませてくれます。

他に良かった点を挙げれば、

○舞台を移動するときの視覚効果が素敵

○十虎(ten tigers)が登場するシーンのアクションが素晴らしい
 そして格好良く、設定もGOOD

○スティーヴ・クーガンが演じる発明家、フォッグ氏の人柄が、

 とても嫌味なく表現されていて、好感が持てた。

 可愛げのあるへなちょこっぷりです。うまい。

道具を使ったドタバタアクションシーンはさすがに圧巻
 ジャッキー映画の専売特許と言うか、本領発揮ですわ。


で、気になった点もいくつか。

×話の展開が強引過ぎる。

  世界一周だから仕方がないのか、時間がなかったのか、

  場面転換に何の脈絡もない部分が目立つ

×CGの合成がちゃちいのはちょいと残念。
  人物と背景が馴染んでいないのが、昔の映画のようだ。


ま、そんな感じですわ。

ジャッキーお得意の、ドタバタアクションコメディの王道と言えましょう。

お好きな人ならどうぞ、です。

僕敵にはB++


★★★★★★☆☆☆