娼婦ベロニカ -A DESTINY OF HER OWN-
男は、今も昔も女無しでは生きられない。
精神の、肉体のパートナーを求めるもの。
(勿論、パートナーは異性に限るものではないし、複数だって構わない)
女性を支配したい人、女性に支配されたい人、
対等な関係を望む人。
内面・外見の好みも様々、時代の流行りも様々だが、
皆それぞれに、理想のパートナー像があるだろう。
自分が理想のパートナーを欲するように、
相手も同様に理想的な自分を望むのだとしたら、
一分一秒を、自分を磨くことに費やしたい。
豊かな教養、洗練された立ち居振る舞い、引き締まった無駄のない肉体。
美肌、体毛や髪型、歯並び等、外見的にも磨くところに枚挙に暇はない。
相手の好みにもよるだろうから、何が理想かは千差万別だが。
更には豊かな空想力、想像力、創造力や応用力も備えていたい。
この映画はルネサンス盛期のヴェネチアが舞台。
女性は男性の持ち物で自由がきかない、という描写であるが、
男性も家柄に縛られていたため、
男と言えども必ずしも理想のパートナーと生活できたわけではないようだ。
男女の付き合い方、相手をいつまでも自分の虜にするための手法、
女性の自立、キリスト教の欺瞞。
いろいろなことを考えさせられる。
(それにしても、信教は自由とはいえ、なぜ未だにキリスト教のように
教義の破綻している宗教がメジャーなのか・・・
神の所業が科学的に明らかになれば、
宗教の存在する余地はないと思うのだが。
聖典が古典であり、既に原典はなく解明できないミステリーがある以上、
いつまでも存在してしまうのだろうか。
信教の違いによるくだらない戦争に巻き込まれるようなことは、御免被りたい。)
男の理想的な女とは。また、その逆とは何か。
個人的には、より多くの女性が知的で教養に溢れ、
性的にも魅力的であることを望む。
また、そうあるために楽しんでする努力を歓迎したい。
そんな素敵なパートナーと、未来永劫楽しみたいと思う。
もっとも印象に残ったシーンは、
母親役のジャクリーン・ビセットが、性技やテーブルマナー等を娘に仕込む部分。
アスパラガスをエロティックに食す所作は秀逸。
男性モデルの惚れ惚れするような肉体も魅力的で羨ましい。
(ナニを見られて 「Amazing...!」 などと感嘆されてもみたいもんだよ、全く。
アジアンは大きさじゃ敵いませんわな・・・(´へ`;) )
そして、飛び切りの美人ではないながらも、
高い気位を持った娼婦を演じるキャサリーン・マコーマックの、
読書好きな女性が高級娼婦として上り詰めるまでの、中盤の演技も良かった。
彼女の肢体も、言わずもがなに魅力的に描写されている。
最後の宗教裁判のシーンは、肩透かしを食ったよう。
結末は、どちらに転ばすにしても、盛り上げるのは難しいか。
宗教裁判、魔女狩りという題材が既に多く扱われているため、
意識せずとも容易に悲劇を予想してしまう。
でも、バッドエンドでなくて良かった^^
切なさ、女だてらに地位を駆け上がっていく痛快さ、
政治的、宗教的時代背景によるもどかしさがバランスよくミックスされた作品。
落ち着いて見ることが出来る佳作です。
B++を。
★★★★★★☆☆☆